オーナーシェフの井上さんからの一本のお電話が出会うきっかけとなりました。とてもわかりやすく準備もしっかりして説明してくれることから、信念を持った几帳面な方というのが第一印象です。
井上さんが思うレストランに対するこだわりの強さに感銘を受けたことと、私自身の考えとも方向性が合うのではないかとの思いからぜひ会ってみたいと思いました。
鹿児島の食材を使ってフレンチを作りたいというこだわり、季節感やシチュエーションを考えた細やかな気遣いのあるメニュー、また料理だけでなくテーブルウェアにも鹿児島の作家と十分に検討したものを使うこだわり、これらを成し遂げるにはどうしてもコストがかかりますが、それらをお客さんに伝えることで、トータル的にお客さんを満足させたいという姿勢及び考えを第一にしてお店作りをしているというところに感銘を受けました。
私は大島釉を使ったトップクロスを作りました。私が試作したものに率直な意見をいただき、お互い納得する形が決まるまで時間がかかりましたが、結果的に私としても本当にいい商品ができたと思います。
私は鹿児島の伝統工芸品である大島紬の製造に携わっています。本来大島紬は着物の生地ですが、その需要が少なくなった現在、時代に合った大島紬や延いては時代をリードする大島紬を提案していく転換期だと考えています。先輩たちが築き上げた伝統も守りながら時代に合わせて変わっていくのが本物の伝統であるとの思いの中様々な取り組みをしています。
そんな中、今回の井上さんの取り組みには非常に興味を持ちました。この経験が私が思う今後の大島紬の在り方にもいい影響をもたらすと思います。
少しずつでもいいので今後ともお互い切磋琢磨していければと思います。
正直なところまだ営業後のお客さんを前にして、こだわりの料理が盛り付けられたトータルコーディネートを見ていないのですが、
想像するとワクワクすると同時に、お客さんがトップクロスを見てどんな感想を持つだろうかと気になります。
目立ち過ぎず調和がとれているかとか、またスタッフが取り扱いに手間取っていないかとか耐久性はどうかとか気になります。
例えれるならば、嫁に出した娘を案じるような気持ちでしょうか?
最初から全てがうまくいくとは思っていませんが、改善を重ねうまくいくのであれば大島紬の一つの道が開けることになります。
そのようなチャンスをいただけたことは大変ありがたいことだと思いますので、ぜひ完成度を高めていきたいと思います。
やはり、鹿児島にしかないフレンチとその空間が魅力のお店だと思います。思い出に残るような時間を味わえる鹿児島の名店になることを楽しみにしています。そしてその中でまた大島紬が一味加えられるような活躍の場を見いだせることができたらと思います。